馬場差の話

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3回目の更新になります。

 

 

今回は馬場差(トラックバイアス)についての話です。

 

 

 

 

 

トラックバイアス~とか

長ったらしいのは好きじゃないので私は、馬場差 (ばばさ)と言っています。

 

 

 

 

 

 

「馬場差ってなに?」

 

 

 

 って方もいると思うので、

入り口から説明していきます

 

 

 

まず、競馬というのは常に2~3の競馬場で同時に開催しています。 (例えば、東京、京都、福島など)

 

 

 

すると、そのとき使用していない競馬場(中山、阪神など)

では次の開催に向けて、馬場の補修、芝の育成が行われています。

 

 

 

なので次の中山、阪神が開催するときには、ビッシリと青々しい綺麗なターフ開幕することができるのです。

 

 

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そのまっさらな馬場のことを『開幕週の馬場』と呼びます。

 

 

 

なぜみんなが、このような特別視した呼び方をするかと言いますと、開幕週の馬場のレースでは

 

 

前がやたら残るとにかく内の馬が来るといった、

 

 

偏った現象がよく起こるからです。

 

 

 

これは、前回書きました『コーナーの話』を読んで

もらえれば当たり前のことで、内を回ってる馬がめちゃめちゃ有利な状況こそが、トラック競技では

むしろ通常なのです。

 

 

 

 

 

 

しかし、競馬にはここに新たな要素が加わってきます。

 

 

 

 

 

芝生の上を馬が走ることにより、芝が掘れ、

徐々に馬場が荒れてくるのです。

 

 

これにより状況は大きく変化していきます。

 

 

 

 

 

 

 

私は以前、とある牧場にお邪魔したことがあるのですが、

 

f:id:pelusa-noyosou:20181115145713j:plain  (こんな雰囲気のところ)

 

 

いきなり、

『ドーーン!!』という爆撃のような音に驚きまして、そしたらそれは馬が壁をちょいとキックした音だったんです。

 

(これは食らったら余裕で逝けるなぁ…)と心の中で思いましたね。

 

 

 

馬の体重は500kgからありますので、その脚力はハンパじゃないのです。

 

それが十数頭で、一日に何レースも走るわけですから、

芝は開催を追うごとにボッコボコになっていきます。

 

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その際、馬場全体が均等にボコボコになるわけではなく、

 

馬が多く走った場所から荒れていきます。

 

 

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例えば最後の直線。

普段のTVで観るような横からの映像だとわかりずらい

ですが、パトロールビデオを見るとだいたいこんな感じ

で横に広がります

 

 

 

多頭数(15頭立てなど)ですと、かなり外まで広がりますし、

少頭数(6頭立てなど)なら、そんなに広がらなくても前が詰まる心配がないので、わりと内目に収まります。

 

 

 

 

この 多頭数のレース  と 少頭数のレース  

 

どっちにしても馬が通る場所があります。

 

 

 

 

 

内 です。

 

 

 

 

通ったり、通らなかったりする外目に比べ、

内は確実に馬が通るのです。

 

 

 

 

しかも、内は道中も馬が通ります。

 

 

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道中は無駄なロスをしないよう、だいたいみんな

2~3頭分くらいに収まるように走ります。

 

 

当然このときにも馬が地面を踏むワケですから、

芝へのダメージがあるわけです。

 

 

 

 

 

 

一度、整理すると…

 

 

 

・直線 も 道中も馬が通る内3頭分くらいが最もダメージを受ける。

 

・道中は馬が通らないけど、比較的内目である4~5頭分目くらいのところがその次にダメージがあり、

 

・直線のたまにしか馬が通らない外が一番ダメージを

うける機会が少ない。

 

 

 

というのが、馬場が荒れていく基本的な順番になります。

 

 

 

 

単純に、内の方から荒れていくって覚えておいても問題はないと思います。

 

 

 

 

 

これが内と外の『 馬場差 』です。

 

 

 

 

 

 

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 荒れた馬場はとても走りづらいので、有利だったハズの

内側が開催が進むにつれて、少しずつ有利ではなくなってきます。

 

 

そしてその荒れ具合があるレベルを超えたとき外を回っ

た馬でも五分、またはそれ以上の勝負ができるようになってくるのです。

 

 

 

 

 

 

『ちょっと荒れたところを走ったくらいで、そんなに影響あるの?』

 

 

 

と思うかもしれませんが、人間で考えてみると想像がつきます。

 

 

 

 

 

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例えば、こんな舗装もされてない道。

 

仮に、私がここで50mのタイムを測ったら、8秒かかったとします。

 

 

 

その後に

 

 

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こんな陸上用のトラックで同じようにタイムを測ります。

 

 

当然、こちらは走りやすいワケですから、さっきと同じように全力で走ったとしても、タイムはこちらの方が早くなります。

 

さっき8秒かかったところが、ちょっと速くなって7,8秒とか7,6秒になったりするわけです。

 

 

 

 

もしも、それを鍛え上げられた一流のアスリートがやったとしたら、タイムの違いはさらにハッキリと出てくると思います。

 


 

 

 

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 これはオリンピックの100m決勝の結果です。

 

 

 

 

ここで注目して欲しいのは 1位~10位までのタイム差です。

 

 

 

1位の9,86から、10位の10,03まで、

 

 

 

なんと0,17秒しかありません。

 

 

 

 

鍛え上げられた一流の

アスリートたちの頂点を決める競走は、0,1秒を争うレベルの勝負になるのです。

 

 

 

 

 


今一度、想像してください。

 

 

 

 

もしも、ウサイン・ボルトのレーンだけ、先ほどの舗装されてないデコボコの道だったらどうなるでしょうか?

 

 

 

 

 おそらく、少なくとも0,1秒か0,2秒は遅くなるので、勝つことはできません。

 

 

 

 

 競馬でもそれと同じことが起こっているのです。

 

 

 

 

・外は芝がキレイに生え揃って、クッションの効いた馬場。

 

・内はところどころ土がむき出しになり、穴ボコがあいている馬場。

 

 

 

最後の直線、各馬が横に広がったとき、

内と外、どちらを走った馬が伸びてくるかは明らかです。

 

 

 

競馬もオリンピックと同じように、勝敗が0コンマの差で

決まるレベルの競走なので、馬場差によって生じる0,1秒、0,2秒(もしくはそれ以上)の違いで、着順が大きく変わってしまうのです。

 

 

 

もちろん、不利なところを走っても実力の違いで勝ちきってしまう馬もいます。

 

 

 

しかし、勝てる実力がありながら、不利なところを走ったために0,1や0,2の差で負けてしまう人気馬もたくさんいるのです。

 

 

 

 

だからこそ、馬場を重要視する予想家は、

『先週、土曜、当日』と馬場を念入りにチェックし、

 

 

 

『今はまだ内が有利かな?』とか、『もう完全に外差し有利っぽいなー』とか、

 

 

どこを走る馬が有利かを見極めるのです。

 

 

 

 

と言っても馬場はかなり複雑で、

わかりやすいときもありますが、基本的に判断が難しいときの方が多いです

 

 

 

 なので、見る人によって見解が違ったりすることがよくあるので、

 

それも馬場の面白いところだと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

 

 

 

①馬場は内から荒れていく

 

②馬場差による0コンマの差が着順に大きく影響する。

 

 

 

 

少し長くなってしまいましたが、今回言いたかったことは主にこの2つです。

  

 

次回はまた全然、別のテーマをやりたいと思ってますが、

 

またそのうち『馬場差の話②』を書くと思うので、興味のある方は見てくれたら嬉しいです。

 

 

 

 

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(それによって、『この人また読んでくれてる』というのがわかってモチベーションになるのです。)

 

 

 

 

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。